折り紙で読み物シリーズ
[ 眠り と 夜明け 編 /
第1章 現実に基づく 夢 ]
あらすじ:
昨年12月にメンバーが一通り折られて以来
折り紙世界の内外で様々な経験を積みつつ
キャラクターの原作が登場する
『 ファイナルファンタジー15 』 の
発売を待ち続けていた
折り紙のノクティスたち
普段は仲が良い作品たちだが…?
――――――――――
折り紙・イグニス
「ノクト、いよいよ今月末に
原作のゲームが発売されるが
緊張感が足らないんじゃないか?
折り紙とはいえ、約30年の歴史を持つ
FF ( ファイナルファンタジー )の主役が元ネタ
しかも、開発元であるスクウェアエニックス側にも
存在をはっきりと認識されている折り紙作品として
もっと相応しい立ち振る舞いを…」
折り紙・ノクティス ( 通称:ノクト )
「るっせーな…」
「そういう部分が良くないと言っているんだ
原作のノクト
つまり ルシス国王子・ノクティス は
様々な葛藤を乗り越えながら
国民を守りし王家である自覚を徐々に持ち
旅の中で成長なされていく
お前も少しは悪いところを直す努力をすべきだ」
「んな事、言われなくても分かってっつうの!!!」
「…( ため息 ) 今は、何を言っても無駄か」
「…チッ、イライラする…!
( ノクティス、その場から去ろうとしたが
足元に何かが落ちている事に気づく )
――― ん?」
「このスマホは…!」
「そのスマートフォン
原作の王子が使っていた物のコピーか
紙製だから画面が割れる心配はないが
落とすのは不用心だぞ」
「…(画面を見たまま、動かない)」
「おい、聞いているのか? ノクト」
「―― 悪い、イグニス!
急用できたから、ちょっと行ってくる!」
( ノクティス、その場からスマホを持って走り去る )
「ノクト!」
―――――――――
「近くにいるんだろ!どこだ?」
???
「ピウ!」
( スマホの画面に、メールのように文字が映る )
[ そっちじゃないよ!こっち、こっち! ]
「…!」
「やっぱり、このスマホはお前が出したんだな
『 カーバンクル 』 !」
折り紙・カーバンクル
[ 折り紙の世界でも会えたね、ノクト! ]
「ああ、原作の体験版では世話になった
…こっちの世界でも、オレの事を何でも知ってるのか?」
[ うん、知ってるよ!
“折り紙の世界では、お腹が空かないから
嫌いな野菜を食べなくて済んでラッキー“って
この間、考えてたでしょ? ]
「思いっきりバレてるな…」
[ 僕は、君の事なら何でも知ってるからよ!
人よりたくさん昼寝をしている事も
ノクトなりに色々考えて悩んでいる事も、ね ]
「…」
[ FF15は、良くも悪くも
世界的にとても注目されているゲーム
そんなゲームの
公式ブログで君たちは紹介されたり
イベント用ノベルティに写真を使われたりしたから、
プレッシャーもあるのだろうけど…
悩みは、それだけじゃないよね? ]
「…発売日が近づくにつれ、
オレ自身の中で“何か”が痛むんだ
たぶん、それは重圧とかじゃない
焦りに近いような…違うような…」
[ うん、さっきイグニスに強く当たったのも
君が抱えている “ それ ” が原因で
イライラしてたからだよね
どうやら “ 小さなトゲ ” のようなモノが
心に刺さってるみたいなんだけど…
ごめん、ノクト
僕も色々原因や正体を捜しているんだけど
まだ分からないんだ ]
「そうか…」
[ でも、安心して!
例え、どんな闇が迫ろうと
僕がノクトを守ってみせる! ]
「ありがとな、オレも答えを考えてみる!
…そう言えば結局、ゲームの体験版では
お前の正体がよく分からないままだったけど
一体、何者なんだ?」
[ それは、本編発売まで秘密!
さぁノクト、皆が君の帰りを待っているよ? ]
「帰り?…ああ、そういう事か
次に会えるのは、いつか分からないけど
じゃあな、カーバンクル!」
[ またね! ]
――――――――――
「ノクト!」
「うっ…」
「目を覚ましたか
ケガは無いようだが…何があった?
お前が走り去った後、嫌な予感がして捜してみれば
何もない所で倒れていた
まさか、敵の襲撃にあったのか?」
「いや、違う…そうじゃない」
( ノクティス、立ち上がる )
「ちょっと、寝てた」
「寝てた、だと?」
「その…オレも気づかない内に
夢の世界に行ってたっぽい
でも、変な場所で寝てたのはマズかったし
今後は気を付ける …他の事も含めて」
「(メガネの鼻当てを指で押して、位置を軽く直す)
…分かった
では、そろそろグラディオたちと合流するとしよう」
「そうだな、皆の所へ行くか!」
――――――――――
原作では、ノクティスを守るために作られた
小さな召喚獣・カーバンクル
折り紙のノクティスが
自分自身に感じた違和感の正体とは…?
続く